私が入社したきっかけは先に入社していた友人の紹介でした。
前職でホテル業務を経験していたこともあり、また、コンドミニアムスタイルという日本ではまだ一般的に浸透していない種類の宿泊業であったので興味があり、直接社長と会って話を聞かせてもらいました。

職場は静岡県熱海市にあるグランビュー熱海(以下、G熱海という)です。
熱海には旅行で行ったことはありましたが全く知らない土地なので不安もありました。ですが心機一転始めるにはむしろ都合がいいだろうと前向きに考え、住み込みで働くことになりました。

当時、この施設は立ち上げ期で、スタッフ数すら不足しておりマニュアルもない状況でした。正直この先どうなるのか心配になったことを思い出します。

その頃、社長に言われた言葉があります。「最初の一年は良いことも悪いこともすべて受け入れなさい、無心で頑張って一つでも多く吸収しなさい」と。この言葉でやってみようと腹が決まりました。この言葉は今でも自分で心がけていることの一つです。

ここからはG熱海でどのような仕事をしていたか少々お話ししようと思います。

入社当時、G熱海は夏の繁忙期で大変に忙しかったことを憶えています。
文字通り朝から晩まで働きました。1日があっという間に過ぎ去っていく感じです。繁忙期なので当たり前ですが、働くときに働いて、休めるときに休む、という感じでした。
忙しくて心身共にヘトヘトになり辛く苦しかった覚えばかりです。しかし今になって振り返ると、この時の経験が知らず知らずに、その後の自分にとって、仕事に取り組む姿勢が大いに培われ身に付いたように思われます。大変充実した期間であり今の自分の基礎・基本となっています。

また、この会社の特長として一人一人が責任を持って経営に携わる形を組織化し、実践を通して経験を積み、互いに切磋琢磨して自己成長していくと言うところがあります。
私も例外になく色々なことを経験させて頂きました。冒頭にホテル経験があるといいましたが、ほとんどフロント応対だけの業務でしかなく、この現場では初心者レベルにすぎませんでした。いくつか具体例をお話ししますと
まずひとつは、宿泊業にとって大切な販促業務についてです。もちろん未経験でしたので大変に勉強になりました。最近はインターネットからの予約が増大しており、自分のやり方によってお客様が予約するかしないか決まってくるのです。
自分で考えたプランや案内を表現しその結果予約が増えてくるととてもうれしくやりがいがありました。また他にも雑誌広告やローカルテレビでの宣伝、看板広告など販促は多種多様で、なかには結果が出ないこともあり大変難しいものでした。しかし、それだけにたくさんの貴重な知識や経験を得ることができました。

次に経理もやらせてもらいました。会社経営に携わるとはどういうことかと一言で言うと、第一に会社として利益を出さなければなりません。売上・経費・利益の構造を理解、把握するためには経理という仕事はすべてを数字化して管理するのでまさにうってつけです。
とはいえ、今でこそそう言えるのですが当時の私は全くの素人だったため苦労しました。しかし、本で勉強したり本部スタッフの方にフォローしてもらいながら最低限のことはできるようになりました。
後に述べる現地G熱海の経営を担っていくためには、この経験がなければおそらくできなかっただろうと思っています。

あと、施設メンテナンスも大事な仕事の一つです。熱海にとっての商品とは何かというと客室・展望風呂を含めた建物全体です。これをおろそかに扱うといくらお客様に来て頂いても満足してもらえず、次回からは利用してもらえないことになります。
一言でメンテナンスといってもいろいろあり、客室清掃から建物自体の修繕など次から次へと問題が起こります。自ら清掃もやりましたし簡単な修理も行います。
特に展望風呂には気を遣いました。どうしても温泉を使う設備は故障しやすく管理が大変でした。お客様は展望風呂を利用するのを楽しみにしている方が多く、これが使えないとなると大変な苦情になります。すぐに業者が来て対応できればいいのですが、そううまくはいきません。
そこでどうするかというと業者が来たときに後ろに張り付いてずっと見ているのです。そして故障原因、故障の兆候、応急措置など徹底的に質問攻めです。業者にとってはうるさい人だったと思います。その甲斐あってたとえ故障してすぐに業者が来なくても対応できるようになりました。
このように日々実践・経験して仕事に取り組んできました。

こうして1年半が過ぎた頃、日頃の努力が認められ?晴れて現地支配として責任者に任命されました。これからもっと責任が重大になると思うと正直不安もありましたが喜びもあり頑張ろうと決意しました。
現地責任者になると今まで以上に仕事量も増え苦労も絶えません。
その中の一つにまず、パートアルバイトの皆さん(以下、PAという)を含めたスタッフの指導・教育・管理があります。口で言ってもうまくはいきません。少人数ですが苦労の連続でした。
そこで、自分が言ったことはまず「自分がやること」これを心がけました。いくら上から口ばかりの人にいわれても、ひとは素直に聞きませんし動きません。
まず自分がG熱海を理解・把握し率先して仕事をすれば、必ず信用され信頼してもらえるようになると思いました。おかげでスタッフに恵まれそして助けられ、責任者として頑張っていけました。
とはいえ、まだまだ力不足で出来なかった事柄も多くありましたが、それはこれからの課題にしていきたいと思っています。

次に業者との交渉や応対も仕事の一つです。G熱海では大手業者から個人の業者まで様々な業者との取引がありました。
内容は新規業者の選別、適正価格の調査、取引の値段交渉、納品チェック、業者の見直しまで行います。このとき責任者が頼りないと相手に足元を見られ、上記のような仕事がしっかり出来なくなるので、その辺のことを注意して発言しました。
また、近隣業者との付き合い、地域との密着友好関係を築くことにも努力しました。この経験で得た応対・交渉力はとても勉強になり、次の仕事でも活かせると思ってます。

後は、苦情などのクレーム処理があります。宿泊業では不特定多数の方が出入りするため、様々な苦情がありました。もちろん他のスタッフで処理できることもありますが、大きい問題になると最終的には責任者が対応します。嫌な思いもしますが本社の方にも相談もしながら対応してきました。
その中で心がけたのは相手に隙を見せないこと。感情的にならず冷静に対応することです。いろいろなことを体験して少しは度胸もついたと思います。またこの様な処理をどうするかで他のスタッフとの信頼関係も強くなると感じました。

この他にもまだまだ責任者のたくさんの仕事がありますが挙げていくとキリがありませんのでこの辺にしときます。

このように夢中で働いた3年間でしたが、自分の将来の希望であった法律関係の道に進むこととなり、予定より早くなってしまいましたが今回退職することにいたしました。
今振り返ると、うれしい、楽しい、苦しい、悔しい、などいろいろな気持ちになりましたが1日1日をあっという間に駆け抜けたような気がします。
まだまだ未熟でこれからですが、社長をはじめグループの皆さんに鍛えられ、また、現地の社員、PAの皆さんにたすけられて何とかやってこられたと思います。心から感謝したい気持ちです。

あとはこの経験を次に活かせるよう頑張るだけです。職種は違いますが、将来、独立することがあればきっと役立つことばかりだと思います。
そしてお世話になった分を「独立」という形で返せればいいなと考えています。時間以上に貴重な経験を積ませて頂き本当にありがとうございました。がんばります!